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真面目なコミックバンドは何故バズらないのか?

真面目なコミックバンドは何故バズらないのか?

この疑問、一度は誰しも抱いたことがあるのではないだろうか。

…。

…無い?

じゃあ何抱いてるの?

ぬいぐるみか?

ピカチュウとかイーブイのぬいぐるみか?

…。

…まあいい。

俺が抱いたことあるっていうのが大事だからね。皆抱いてなくても関係ない。

話続けるね。

ここ数年のバンドシーンでバズったコミックバンドって何がいる?

パッと思いつくのはキュウソネコカミヤバイTシャツ屋さん打首獄門同好会だよね。彼らに共通しているのはバンドのスタイルとかポリシーだとかお堅い考えに囚われないとにかくキャッチーで誰にでも受け入れてもらえてひたすら聞いてて楽しい楽曲。もしかしたら知らない人がいるかもしれないから少し振り返ってみようか。

今日お誕生日かよ、てくらいのテンションにサビで一気にドカンと持っていくことに関してはキュウソネコカミは非常に優れている。何より曲の随所で客がノリやすいポイントを意識的に作っているところが素晴らしい。バズるコミックバンドのスタンダードな形を確立したという点では界隈の千利休と呼んでいいのではないだろうか。呼んだ瞬間に茶道家に茶釜で殴られそうだから呼ばないけど。

メガシンカしたキュウソネコカミ。キュウソ先輩よりもさらにメッセージ性を削ぎ、あるある系、イジり系、ご当地ネタなど様々な歌詞を盛り込みキャッチー全振りにして若者の感受性を一本釣りし続ける怪物。一発を当て続ける一流の一発屋。筆者はこやまがいつ限界を迎えるか正直ちょっと心配。たまには休めよ。

現代コミックバンド界隈の神。食べ物、お金、バイト、嘉門タツオなど生活に根ざしたテーマをストレートに表現し老若男女、誰でも受け入れられる世界観を構築している。社会が崩壊しない限り永遠に曲のテーマが尽きないこち亀みたいなバンド。細美武士や藤原基央に憧れているバッチバチに理念のある人には辿り着けない境地にいる。お菓子くれるから好き。くれなくても好き。

とまあ、振り返っていただいたところで本題に入ろう

こんなバンド達がブレイクしている一方で何故か世間一般での知名度が上がらないコミックバンドもいる。

例えば四星球バックドロップシンデレラがそうだ。(バクシンはコミックバンドと呼んでいいのかな?)

同じコミックバンドなのにどうして彼らはバズらないのか?

それについて考えていくとどこの誰を相手に曲やパフォーマンスを届けているかというのが鍵になってくる。

キュウソやヤバTはライブに来てくれる客だけでなくテレビ、ラジオ、YouTubeなど動画サイトを含むメディアの向こう側にいるライトな音楽ユーザーも顧客対象として活動している。

広い層の人々を市場に引き込むためにはある程度の柔軟さとフットワークが必要である。じゃないと多様な需要や日々変容する世間のブームに対応出来ないから。だから彼らは”美しい曲を作る”とか”言葉の響きを大切にする”みたいなミュージシャンが束縛されがちなポリシーをあえて持たずにいるのだ。結果として(棘のある言い方だが)彼らの曲は癖が無く、時勢に応じた誰がいつ聴いても非常に楽しい曲になる。そりゃウケるしバズりますわ。

対してスーシンやバクシンはというとライブに来てくれるファンを楽しませることを第一に活動しているように思える。ネタ曲を作りはするもののバンドの個性が曲に現れている。ただ楽しませるだけ、ではない。ファンに「このバンドのこれを見たいんだ」と思ってもらえるような個性を大事にしている。だから興味ない人からすると内輪ノリが強くスベってるように見えてしまうし手を出しづらい。

故にバズらない。

しかし、バズるうえでは弊害となるこの個性も根強いファンを獲得するうえではかなり重要なものである。

例えば四星球の曲はメンヘラがどうとかノリで婚姻届出そうとか冷静に考えたら非現実的で実際に体験することが無さそうなテーマではなく、段ボールで小道具作るとか小学生の女の子の筆箱中身多すぎてうまくペンがしまえないとか本当に凄く身近で飾り気がなく無性に人間味溢れるテーマの曲が多い。だから聴いていてその場のノリではなく心の底から共感出来るし最終的には感動してしまう。コミックバンドのライブなのに。

ワンマンは別として限られた時間のパフォーマンス、フェスとかでヤバTのライブ見て感動したことがあるだろうか?

たぶん無いよね。

楽しい≠感動なのだ。

対して四星球のステージは凄い。あんなふざけたことしているのに見ている観客を必ず感動させる。スーシンのステージは見る精神薬、なんて感想を述べた人までいる。

こんなふうに人を感動させられるのは本質的に四星球のようなコミックバンドが真面目だからだ。「売れたい!」という気持ちは大前提としてそれに負けないくらいの「自分はこういう曲を作ってこういうライブがしたい!」という気持ちがあるのだと思う。そして真摯にその実現に向かって努力しているからその努力がファンに伝わり感動を生むのだ。

そもそもこの記事を書くきっかけになったのがバクシンのこの曲、バズらせない天才だ。

MV公開から2ヶ月くらい経つけど再生数の伸びはほぼ止まっている。公開から2週間くらいがピークだった。結局いつも通り既存ファンだけが聴いているという感じで、色んなブログやネット記事にちょこちょこつつかれた割に見事にバズらなかった。(やっぱり天才じゃないか…)

でも彼ら的にはこれで良いんだと思う。歌詞にもある通り彼ら自身のやりたいことでバズらないと意味がない。自分達の理念に忠実なバクシンのことをファンは決して見放しはしないだろう。

ヤバTのようにブームが去るとファンが離れてしまう可能性を抱えているわけではないのだからこれはこれで良いのだ。

これからも好きなだけウンザウンザしてくれ。

むしろ本気でバズろうとしたら今まで積み上げてきたイメージを破壊しかねないからバズろうとしないでほしい。

バズらない癖の強いコミックバンド達は今後も目の前のファンを魅了してくれる存在でいてほしい。画面の向こう側に行かないでほしい。

とにかく。

真面目なコミックバンドは無理してバズらなくてもいい。

その方が素敵だと思う。

ではでは。

【補足】本稿では四星球やバックドロップシンデレラを真面目だと表現しましたが逆説的にキュウソネコカミやヤバイTシャツ屋さんが不真面目だと貶す意図は全く御座いません。ムーブメントを生み出し、持続させる努力を重ねる彼らも相当な努力家であり真面目なバンドです。むしろそっちの方がはるかに難易度が高いです。誤解されませぬようお願いします。

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古衣

バンドとボカロ好きが高じてブログを書いたりDTMをしてすごしています。